北京·胡同窯変

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第256回 《寄り道編》春の根津神社つつじ苑の贈り物

東京、春の根津神社つつじ苑。


例年ならば「つつじまつり」が開催されてもおかしくない時期なのだそうですが、それが、なんと!! 時節柄「まつり」の諸行事は中止。


でも、肝心の「つつじ苑」は開苑しているということなので、それを知った私の頭の中にはもうそれだけで色とりどりのツツジの花が咲き乱れ、からだはうずうず、頭はパンクしそうだった。お邪魔したのは東京滞在中の2021年4月8日。



千本鳥居。



鳥居をくぐって行くと、乙女稲荷。
このお稲荷さんは素朴な自然崇拝の世界そのもの。
乙女稲荷から「透塀」を眺めることが出来るが、それはまるで時代劇の世界。
ちなみに「透塀」は重要文化財に指定。





「つつじ苑」はおよそ2000坪、そこに約100種3000株のつつじがあるそうなので、何処を眺めてもつつじたらけ。つつじのお祭り、子供のころから漢字の苦手な私は、画数の多い「躑躅」という漢字を思い起こす。


ウェブ版『実用日本語表現辞典』を見ると次のようにあったのが興味深い。
漢字「躑躅」は「てきちょく」と読むが、“「てきちょく」と読んだ場合には、足踏みしたり立ち止まったりするなど、躊躇しながら進む様子を意味する熟語である。ただし、この読み方をしている場合にも、まれに漢語的な用法で植物のつつじを指すこともある。一説には、つつじのあまりの美しさに道行く人が足を止めることから、つつじに「躑躅」の字を当てたと言われている。”



また、ウェブ版『世界宗教用語大辞典』(中教出版)を見ると、この花が農耕などと関係のあることが分かる。長いけれど次に写してみた。
「日本でツツジは農耕開始の象徴とされ、とくに卯月(四月)八日の天道花には藤・山吹と共にツツジが竿先につけられ、庭先に立てて神を招く依代とした。八十八夜前後、苗代に播種ののち牛王宝印の札と松の枝にツツジの花を添え、田の水口にさす地方もある。花がよく咲いた年は豊作だともされた。ただし赤い花は神聖視され、仏壇に供えてはいけないとか、ふだんの日に家に持ち帰ると火事になる、などとする所もある。」※「牛王宝印」。神社・寺から出す刷り物の守り札(護符)で、災難よけに身につけ、また門口にはる。


これを読むと、中国の正月に門口に貼る「門聯」も時代を遡ると邪気を払う護符として桃の木が使われていたと言われていることを思い出すが、中国で「ツツジ」という植物はいったいどのような役割をになっていたのか興味深い。



早咲き、遅咲きのものがあるので、つつじ苑はさまざまな表情を見せてくれる。時間の取れる方は一回だけではなく時を置いて訪れるのも良いと思う。


私は「つつじについてもっと知識を仕込んでおけば良かった」と反省した。なにしろ「つつじ」の種類が多く、花々の名前が分からない。そのことが残念で仕方なかった。



根津神社のHPには、親切にも「つつじ苑の代表的なつつじ」の名称が載っていたので、次に書き写してみました。


カラフネ、キレンゲ、カバレンゲ、ギンノザイ、ゴヨウツツジ、ハナグルマ。


根津神社のHPを見ると、上の六種類のつつじの咲いている場所がわかります。興味のある方はご覧ください。http://www.nedujinja.or.jp/


きれいに整えられたつつじ。アジサイを連想する人もおられるかも知れません。もちろん、大好物のメロンパンを思い起こす方がおられても、ぜんぜんOKじゃないでしょうか。



根津神社の「橋」。
この橋は渡る人を何処へ連れて行ってくれるのかな。



ここには亀がいて、天気の良い日には石の上で気持ちよさそうに日向ぼっこに興じる姿を見ることが出来るそうだ。


ライブカメラ『花カメラ』で「つつじ苑」を楽しむことが出来るのでURLを載せておきました。
htts://www.tcn-catv.ca.jp/festival/tsutsuji


帰宅後、つつじ苑で味わった楽しさの余韻にひたりながら、つつじについていろいろ調べてみると、つつじの花言葉は「自制心、節制」とあった。これを見てこのご時世に私に必要なのは、まさしくこれだな、と柄にもなく素直に反省。つつじはその優しく美しい姿で私に大切なことを何気なく気づかせてくれたありがたい花である。

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