第268回 胡同回憶・蘇州胡同(その2)
今回は前回簡単に紹介させていただいた、かつて延壽庵と呼ばれていた胡同から歩き始めます。
歩いて行くと東側にアパートの出入り口があるのですが、ここは蘇州胡同101号。
中に入ると年季の入った管理人室。
この管理人室の脇には、手作り感タップリのいい雰囲気の札がさがっていました。
撮影が今から4年ほど前ですから、今はもうないかも・・・。
「厳禁商販進此院内」
管理人室の前は、こんな感じです。
北側に歩いてみました。
ミニクーパー。
西側の一画には物置があって、そこに犬の置物があったのが印象的でした。
犬
次は東方向へ移動。
写真正面奥に洋館がありますが、大いに気になるところです。
今から8年ほど前、前方の洋館の前を通ったことはあるのですが、今回は「出来うる限り、この洋館に接近したい。」
そんな思いを抱いての探索でした。
もとに戻り、東方向に進みます。
大きなゲート。こちらは蘇州胡同94号。
理髪店の斜め前、問題の洋館が姿を現しました。
昔、どんな人が暮らしていたのか・・・。
上階から各階の窓をアップしてみました。
地下室あるいは半地下室。
洋館の東隣は甲99号。食堂です。
この食堂は8年ほど前にもあったのですが、今回訪れて、その変貌ぶりにビックリ。
メニューの一部。
2014年撮影時の「食堂」。
その違法性(?)は問わずに言えば、当時の蘇州胡同はさまざまな店舗が所狭しと雑然と並んでいて、その店舗の一つ一つを見て歩くだけでも楽しかった。
思えば、このような見所満載の胡同が北京にはいくつもありました。
次の写真は2014年のもの。
先にご覧いただいた蘇州胡同94号の西隣には肉屋さんがあった。
こちらは、延壽庵出入り口辺りから、東方向を撮ったもの。やはり2014年撮影。
独り言をつぶやくならば、当時の野性味に溢れた胡同の数々がめまいがしそうに懐かしい・・・。
今から90年ほど前の1936年(民国25年)、アメリカのFRANK DORNという人物が楽しい絵入りの北京地図を遺していて、その地図で蘇州胡同を探してみると次のようにありました。
(この地図は2010年に学苑出版社から発行された複製です)
「SOO CHOW H'T'G」とあり、その下にわざわざ「(SHOPPING)」と書かれています。
当時、蘇州胡同は「購物区」だったことが分かります。
中国人はもちろんのこと、この地図を作ったアメリカ人のDORNさんをはじめ各国の人たちが買い物のために訪れた場所、それが蘇州胡同。当時の老若男女の楽しげな話し声が時を越えて聞こえてきそうです。
さて、この食堂の東側に路地があり、その路地の出入り口には、こんな貼紙が。
此路不通
請勿穿行
ここは一方通行、通り抜けられません。そんな感じでしょうか。
この貼紙のある路地は、のちに蘇州胡同の一部になるのですが、昔、七賢里と
呼ばれていたようです。
この路地の住民のお一人によると、嬉しくもこの路地の西側の家並みを探索すると、先に
ご覧いただいた洋館に接近できるとのこと。
住民の方に励まされ、路地に入って行きたいと思います。