北京·胡同窯変

北京、胡同散歩が楽しい。足の向くまま気の向くままに北京の胡同を歩いています。旧「北京·胡同窯変」もご覧いただけたらうれしいです。https://blog.goo.ne.jp/hutongyaobian

第276回 胡同回憶・小報房胡同(その2)


小報房胡同21号院の洋館の東側、そこには素敵な路地が。

21号院の中庭で見かけた謎の洋館と対面するためにこの路地に入っていくわけですが、
ご覧ください、路地の入り口を・・・。


胸に迫るものがあり、めまいがしましたよ。


わくわく感がたまりません。
入っていきたいと思います。


写真を撮っていると日々学習にいそしんでいる小学生が追い抜いていきました。


こちらのお宅は小報房胡同13号院。


こういう心躍るような路地には、味わいのある手作りの郵便受けがよく似合うのです。

そして・・・何気にたてかけてある竹箒もナイス!!

ちなみに、このお宅の前には高い塀に囲まれた立派な建物があるのですが、こちらは
清末に成立した近代的郵便局「大清郵政総局」旧跡で、一時期「郵政博物館」になって
いました。残念ながら現在は閉鎖中。住所は小報房胡同7号院。


下の写真に写っているのが、大清郵政総局旧跡(後述)。


小報房胡同13号院。


幸せを願う気持ちが端的に表現された春聯
そして、邪気の侵入を防ぐといわれる門神が貼られていました。
門神として描かれているのは、門神のひとりとされる秦叔宝(しんしゅくほう)。
隋末から唐初にかけての名将です。


心をこめて写真に撮らせていただきました。

四季平安(横批)
五福臨門鴻運開
万事順心如意来


「万事順心如意来」という言葉を心に刻み込んで、さらに奥へ。


こちらは小報房胡同11号院。

上の写真左手に11号と書かれた門牌が貼られていますが、貼られている場所
に注目していただけるとありがたいです。これって、ひょっとして昔のゲート
の一部の名残なのではないでしょうか。


さらに奥へ。


突き当たりを左へ・・・。


通路がありました。


まだ行けそうです。


ここで困りました。道が二手に分かれているではありませんか。



奥の道を進みます。



左右に並ぶ住宅がいつ頃建てられたかは不明(おそらく解放後か)ですが、
もとは先に紹介した洋館の敷地ではなかったか、そんな思いが頭をよぎり
ましたね。




見えてきました、目的の洋館が・・・。
外壁と屋根などは修繕済みのようです。



見えてきたのは良かったのですが、残念なことに、ここからではこれ以上近づくことが
できません。



引き返し、別の道を進みました。


初めに気持ちを落ち着かせて状況を把握すれば良かったかな・・・といった
感じです。



見えてきました。


玄関の前に出ることができました。


ご覧ください。
傷んではいますが、洋風の立派な玄関。

この建物の用途は何か、また、昔、どんな方たちが暮らしておられたのか・・・。




現在はアパートとして使われているようです。


写真は2018年に撮ったもの。現在この洋風建築がどうなっているのか不明ですが、
これからも大切に保存、利用していただけたら、と密かに思っています。

この洋館の輝きを胸に帰路につきました。


写真奥を横切っているのは、崇文門内大街。



崇文門内大街沿いから東方向の様子。

写真正面奥に見える建物が、近代的な郵便局・大清郵政総局旧跡。


不確かな点もあったのですが、とり急ぎ大清郵政総局の沿革について次に触れてみました。


光緒23年(1897)2月20日、大清郵政総局成立。初めは旧使館区、東交民巷の台基廠海関内にあったそうですが、光緒31年(1905)小報房胡同に移り、大清北京郵政総局と称したとか。


光緒33年(1908)、総局が東長安街に移転。


民国3年(1914)、小報房胡同の郵局は、北京第一郵務支局と称され、民国19年(1930。民国20年とも)崇文門大街支局と改名。


1949年新中国成立後、郵政支局、郵電所となる。1959年以後、一般民居。
1996年、東城区文物保護単位となり、一時期「郵政博物館」として一般に開放。
現在、閉館中。


ちなみに、日中戦争後の、つまり日本占領期の昭和13年(1938)10月23日発行の
北京廣播電台調査部 安藤徳器編『北支那文化便覧』東京生活社版を見ると、こ
の小報房胡同にあった郵便局が当時「郵政一支局」という名称であったことが分
かりました。


ついでといっては何ですが、日本占領期の小報房胡同にあった日本人と関係の深い
店舗などは以下の通りです。


小倉東洋行(食料品雑貨)・・・小報房胡同9号
浅野物産会社出張所(機械、建築材料輸入販売)・・・小報房胡同9号
天義和(七宝製品)・・・不明。


結びの言葉にかえて、再び小報房胡同の胡同牌をご覧いただきます。


×

非ログインユーザーとして返信する